トレンドのクラフトビールとフルーツのコラボ!『八女ブルワリー』インタビュー

クラフトビールとは、小規模なビール醸造所のビール職人がつくる、地域ならではのオリジナルのビールのこと。福岡市内でもクラフトビールが飲めるお店が増えているなど、巷ではクラフトビールが熱いトレンドを見せています。

 

そして、実は八女市にもこのクラフトビールの工房があり、オリジナルのビールを醸造しています。それが温泉施設に併設する『八女ブルワリー』。ここで醸造責任者を務める矢野恒平さんにお話を聞いてみました!

 

 

 

―いまの仕事をはじめたきっかけは?

 

平成10年の「べんがら村」のオープンと同時に入社したのですが、はじめはレストラン勤務でした。10年レストランに携わった後、ビールのスタッフの退職がきっかけでブルワリーを任されることに。

当時の地ビールはまだまだ発展途上だったこともあり、お世辞にもおいしいとは言えないもので…。でもモノづくりに興味があったので、クラフトビールをいろいろ調べていたところ、ホップの香りが強いビールに出会い火が付いたんです。それはべんがら村の醸造設備でも作れるものでした。

 

とはいえ、一人では限界を感じますよね。そこで当時ホップやイーストを取り寄せていたアメリカの会社の日本人スタッフに相談してみたんです。すると、鹿児島の城山ブルワリーを紹介されました。

善は急げと早速城山ホテルに連絡したところ、とても快く対応いただき、視察という形で城山ブルワリーを訪問することに。もちろん自分がつくったビールを持っていったのですが、そこで「まだまだなんだ」と気が付きました。
その当時は同業者との情報交換は一切なかったのですが、この出会いきっかけに広がりを持つことができました。

 

いまも様々な地域の同業者と情報を交換しながら、日々クラフトビールの研究を行っています。醸造家は横のつながりも強いですね。アメリカでは、麦芽やホップの内容、タイムスケジュール、目標糖度などを公開するガレージビールレシピを公開する方も多いのですが、根底にはクラフトビール業界のすそ野を広げていきたいという共通の想いがあるんです。

矢野さんのレシピを記録したノート

それに、たとえレシピが同じでも、醸造家によって味に違いが生まれるところがクラフトビールの底知れない面白さですね。ホップを加えるタイミングや酵母でも味が全く変わるし、発酵する温度でも香りの付き方が全然違います。まだまだ勉強の余地は残されていて、終わるところはないですね(笑)。

 

 

 

―八女のフルーツを使った商品について教えてください。

 

前任から引き継いだころはラガー、ペールエール、レッドエール(ベンガラ色)の3種のみでしたが、八女市内の実家でゆずを栽培していたこともあり、ゆずセゾンに挑戦したのがフルーツを一番最初に使用した商品ですね。

 

ゆずセゾンは城山ブルワリーが得意としていて、とてもおいしいビールです。ビールには柑橘系が合わせやすいんですね。まずは試作をしてみましたが、やはり城山ブルワリーにはかなわないと感じました。そこから何回も試作を重ね、ゆずの皮を入れる量やタイミングなどを記録し、改良を重ねて商品化に至っています。

 

そして、2019年度の八女市のフルーツブランディング事業では、これまでの経験を活かし、3種のフルーツエールの開発に取り組みました。

 

 

第一弾は巨峰とシャインマスカットで作った「ぶどうエール」です。八女の巨峰は糖度が高かったですね。シャインマスカットはいわゆる高級フルーツ。香りの主張もしっかり効いてビールとの相性も良かったです。

 

続いて第二弾で開発したのは、八女のみかんを使った「ベルギーホワイト」。ベルギーホワイトは城山ブルワリーの売れ筋ということで、以前レシピの交換もしていましたし、ゆずセゾンと同じ柑橘系なので自信はありましたね。

 

現在は、第三弾となる八女産あまおうを使用した「あまおうカカオスタウト」を試作中です。スタウトベースにイチゴを加えてみて、あまおうの香りの強さを感じました。実際に生果の試食をしましたが、やはり色の鮮やかさ、酸味、香りの強さは普通のいちごとは違いますね。驚きました。

試作にあたっては、あまおうの酸味とのバランスがポイントです。黒ビールの中にあまおうを入れたときの感覚を探っていますが、あまおうが一番難しいです(笑)。

どの商品に関しても、こだわるポイントはベースとなる「基本のビール」をきっちり作ること。ビールとしてはフルーツの香りが強すぎてもよくないんです。フルーツの要素はアクセント程度。あくまで「ビール」をつくることにこだわりたいと考えています。そのうえで、それぞれのフルーツの特徴や相性を見極めることが大切ですね。

 

 

 

―フルーツエールの新商品を作るなら、どんなフルーツでどんな商品に挑戦したいですか?

 

生産量の多い八女ならではだと思いますが、キウイフルーツを使用したビールなどの商品はすでに問い合わせがありますね。その中でも、甘さが強く口当たりも抜群なレインボーレッド品種のキウイを使ったビールは面白そうです。あと、今は桃のビールも人気があるので、チャレンジしてみたいです。

クラフトビールを造る身としては、何よりも『地域で飲んでもらえるビール』を目指さないといけないなと。その点でも八女のフルーツを使ったビールは大切だと感じています。八女は美味しいフルーツをたくさん作っている地域なので、他の地域に負けないように、しっかりアピールできるものを生み出していきたいと思います。