品種ごとに異なる
酸味と甘みの絶妙な調和

八女のみかん栽培地域は広範囲に及び、標高100〜300mの
高低差を利用して様々な品種が栽培されています。

概ね7月の温室みかんに始まり、9月出荷の極早生みかん、
3月出荷の貯蔵みかんと続きます。

シーズン定番の早生みかんは、濃厚な味わいを楽しめる品種。
また、早生みかんと普通種の間の「いしじ」は、
まろやかな糖度と早生の食感を併せもちます。
12月からは「こたつでみかん」でお馴染みの小ぶりの
普通種や重量感のある高糖種が流通します。

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世話好きな八女の皆さんのおかげで
難しいと言われるみかん農家を、
一年目から始められました。
ホピポラ農園
長島 央明さん(45) ・憂紀さん(36)
2020年就農
八女市上陽町

Q1.就農のきっかけは?

東京で舞台の演出家をしていましたが、どこか暖かいところで柑橘農家をしたいという憧れがずっとあり、数年間全国各地で移住先を探し続けていました。そのなかで妻の故郷の八女が、実は全国的に大きな農産地だったことを改めて知り、市の窓口に電話で問い合わせました。訪問すると、早々に会わせてくださる農家さんまで準備してくれていました。他ではこんなスピードで提案してもらえることはなく、すぐにここでやっていけるイメージが持てたことから、八女での就農を決めました。

Q2.「みかん」を選んだ理由は?

みかんは未収益期間が長く、収益をあげるには規模と人手を拡大するしかないため、どの先輩農家さんからも「難しい」と言われ続けました。他の果物を選ぶ道もあったかもしれませんが、自分は不思議と、伸びやかなみかん畑の景色が好きで、それ以外は考えられませんでした。
その後、地元農家の先輩に「本気でみかんをやりたいんだったら」と紹介してもらったのが今の畑の地主さん。ありがたいことにみかん農園をそのまま引き継がせていただきました。私たちが“師匠”と仰ぐそのおじいちゃんと奥さま(木下安彦さん・照子さん)は、右も左もわからぬ私たちに過去一年間の作業日誌を譲ってくださり、今でも日々アドバイスをくれるんです。難しいと言われるみかん農家を、一年目からこんなかたちで始められたのは本当に有難いですね。

Q3.どんな品種を育てていますか?

早みかん、日南、上野、宮川、いしじ、南柑、青島…。“師匠”が9月から12月末までの収穫期に収穫が途切れぬように、数種類の品種で組んだ育成計画を教えてくださいました。
いま、その育成計画に自分たちで挑戦してみたかった小原紅早生や璃の香(レモン)など新しい品種も加えながら、チャレンジを始めているところです。

Q4.「八女ならでは」の特徴や栽培環境は?

作物の選択肢が多いところ。私たちはみかん中心に絞っていますが、それでもお野菜や別の果物も組み合わせて色んな計画が立てられる選択肢があるのはとても安心感があります。
また、八女のひとは世話好きで、そのご縁にずっと支えてもらっています。“師匠”との出会いはもちろん、いま私たちが使っている農具もほとんどは周りの先輩農家さんから「永遠に貸してやる」とお貸しいただいたものばかり(笑)。自力で揃えたら数百万円とかかっていたものですから、有難いかぎりです。

Q5.農家をしていて面白いことはなに?

色んなひとと関わり合えること。これをやってみたい、と声を上げたら街の誰かが必ずアイデアや手助けをくださいます。とにかく動けば動いただけかたちにしていけるのが、楽しいですね。
また、収穫期を除けば自分たちのペースで仕事が進められるのも良いです。ストレスの多かった東京生活からは想像できないほどです。

Q6.これからめざしたいことは?

無農薬のみかんづくりが目標ですが、薬や虫のことなどまだ分からないことだらけなので、勉強が必要です。でも、たとえば摘果を自分たちの手で行うだけでも薬が減らせるように、まずは自分たちが分かることからやってみようと思います。いつか無農薬を実現して、自分たちだけのブランドを作りたいですね。
あと個人的なことですが、もうひとつ。自分たちが何の農家になるかを決めきれずあちこちへ話を聞き回っていたとき、ある農家さんから「あんたたちは結局何をやりたいの?」と迫られました。「みかんです」と答えると「農家なんて自分が本当に好きなものでもなきゃ、やれないよ!」と背中を押してもらいました。あの言葉がなかったらきっと決断できていませんでした。今年私たちのはじめてのみかんができたら、それを持ってお礼にいきたいなと思っています。